2007年06月24日

死者の書 (The land of laughs)

 アメリカの片田舎にある小さな町、ゲイレン。天才作家マーシャル・フランスが終生愛したその町へ、彼の伝記を書くために訪れた主人公の『僕』ことトーマス・アビイは、やがて数々の奇妙な出来事に行き当たる。人々の間で意味ありげにかわされる視線、囁き声。マーシャルの娘、アンナ・フランスの謎めいた行動や言葉の数々。静かな片田舎の町。けれども何かがおかしかった。やがてアンナは告げる。マーシャル・フランスの才能に関する、恐るべき事実を。



 ジョナサン・キャロルのデビュー第一作。「デビュー作にはその作家の特質が一番よくあらわれる」という言葉は、ここでもあてはまる。

 ネタバレになるので詳しくはかかないが、フィクションと現実のかかわり、父親へのこだわり、死への恐怖と興味など、この後の作品でも繰り替えし語られることになるテーマが、この一冊の中にぎっしりとつまっている。

 結末が意外で、衝撃的で、しかも技法的に完璧(要するに伏線がきっちりひかれてるってこと)なのもこの作家の大きな特徴。とくにこの処女作と、二作目『我らが影の声』は、ともに決して結末を人に語ってはいけない類いの小説。のちの作品にはのちの作品の良さがあるのだけど、構成の巧さ、と言う点から言えば、この処女作が一番だと思う。
posted by けいりん at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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